菜の花プロジェクト② ナタネ油プログラム


1970年代に世界を襲った石油危機(オイルショック)を教訓としてドイツでは、資源の枯渇の可能性がある化石燃料に頼らず、しかも温室効果が高い二酸化炭素(CO2)を抑える化石燃料代替エネルギーとして、ナタネ油の燃料化計画を強力に進めていました。

資源作物としてナタネに注目して、休耕地などを利用して、食糧としてナタネを作るのではなく、エネルギーの原料とするためにナタネ栽培を進めていました。

ドイツのナタネ栽培の取り組みから、農業がエネルギーの自立に関わることを教えられたのです。エネルギー供給者としての農業「アグリカルチャー・アズ・エナジーサプライヤ」という言葉は、せっけん運動が作りだしてきた「地域自立の資源循環型社会」づくりを前に推し進めて行くカギとなっていきました。

菜の花プロジェクトの誕生

菜の花を転作田に植えて、ナタネを収穫し、搾油してナタネ油を精製する。そしてそのナタネ油は家庭で使用したり、学校給食で使用したりしました。

搾油時に出た油かすは肥料や飼料として活用し、廃食油は回収してせっけんや軽油代替燃料(BDF)にリサイクルし、リサイクルしたせっけんやBDFは地域で利用するというエネルギー循環の取り組みを1998年に始めたのが「菜の花プロジェクト」です。

菜の花プロジェクトは滋賀県東近江市(旧 愛東町)で始まりました。

ドイツの取り組みに触発され、これまでの取り組みをベースに改良を重ねて創り上げた「菜の花プロジェクト」は、「愛東モデル」の影響を受けて、様々な自治体や市民団体により、同様の取り組みが行われるようになりました。

温室効果ガスを抑え、環境に配慮した資源循環型社会を実現するために、「脱化石燃料」の仕組みを作り、実行していく必要があります。

菜の花から生まれるバイオマス燃料(BDF)に、化石燃料依存社会に代わる「脱原発」「脱化石」社会の形成の可能性を求め菜の花プロジェクトは広がりを見せております。