藻類バイオ燃料


藻類バイオ燃料とは、藻類を原料として生産されたアルコール燃料や合成ガスのことです。

藻類をバイオ燃料とする研究は、1970年代から米国エネルギー省を中心として進められてきており、藻類バイオ燃料の商業化に向けて、最大、2,400万ドルもの助成金を提供しており、3つの研究コンソーシアムを援助するなど、藻類バイオ燃料の研究開発や関連の民間企業への投資に積極的です。

日本では、米国に後塵を拝すものの藻類バイオ燃料の研究は盛んにおこなわれていて、JX日鉱日石エネルギー、日立プラントテクノロジー、ユーグレナの3社による共同研究や、筑波大学、豊田中央研究所、デンソー、出光興産などからなる「藻類産業創成コンソーシアム」は発足しており、研究・実用化の検討が進められています。

藻類バイオ燃料は、一般的には水中に存在する顕微鏡サイズの藻(微細藻類)で、その多くは植物と同様に太陽光を利用し、二酸化炭素を固定して炭水化物を合成する光合成を行い、代謝産物としてオイルを生産します。

微細藻類によるバイオ燃料は、植物由来のバイオ燃料に比べて、桁違いに生産効率が高くて(トウモロコシの700倍といわれています)、トウモロコシなどのように食品利用との競合もないため、次世代バイオ燃料として非常に注目されています。

今後、大量培養技術が確立されれば、日本を産油国にすることも夢ではないのです。

藻類バイオ燃料への期待

2005年~2008年にかけて石油価格が高騰した時期がありました。その際にはトウモロコシやサトウキビなどの穀物を原料としたバイオ燃料の研究開発や実用化が進みました。

しかし、穀物系バイオ燃料の需要が急増したため、食糧価格が高騰したことに加え、穀物の栽培には広大な土地が必要であり、農業機械を動かし、肥料や農薬、水などを大量投入するために、莫大なエネルギーを必要とすることが問題となりました。

そのために、穀物系バイオ燃料は代替燃料に適さないと言う見解も多く、米国では、バイオエタノールの生産に多額の補助金が投入されていることに強い批判が集まっていました。

2009年のG8農相会合では非穀物系の次世代バイオ燃料を開発推進することが共同宣言で採択されました。この非穀物系バイオ燃料の原料として、有力な候補の一つの藻類なのです。

下記の表の通り、穀物などの陸上証物を原料とするものに比べて、数十倍~数百倍の効率の良さと、穀物との競合を避けることができること、培養する際には排水・塩水が利用できるなどの利点があります。

原料の種類によるオイルに面積収量比較
原料の種類 面積収量(キロリットル/ha/年)
とうもろこし 0.2
大豆 0.5
ベニバナ 0.8
ヒマワリ 1.0
アブラナ 1.2
アブラヤシ 6.1
微細藻類 47.7~143.1