菜の花プロジェクトって知ってますか?
菜の花プロジェクトは、高度成長の全盛期の1976年頃、滋賀県にある琵琶湖の水質汚染がひどく、深刻な状況になりました。
その中で、家庭から出る生活排水の問題を重視した消費者が中心となって、合成洗剤の変わりに「せっけん」を使って水質汚染を食い止める活動が始まったんです。
その頃の日本は、今の中国の水質や土壌、大気汚染と同じ問題が発生していたんですね。
この活動は、翌年の1977年に琵琶湖に大規模な赤潮が発生したことをきっかけにして、多くの県民や団体を巻き込んだ「せっけん運動」へと拡大して、琵琶湖内の富栄養化を防ぐための条例(通称:びわこ条例)制定の原動力となりました。
そして「せっけん運動」に並行するように、1978年に家庭から出る廃食油を回収して、せっけんへリサイクルする運動が始まり、滋賀県下に広がって行きました。
その後、住民、団体、市町村などの協力のもとに、家庭から出る廃食油を回収するための拠点は増えて行き、廃食油回収の取り組みは滋賀県全域に広がって行きました。
しかしながら、びわこ条例に対抗して、洗剤メーカーも指をくわえて見ていたわけではありません。
せっけん運動が進めば進むほど、合成洗剤が売れて行かなくなります。それでは困る洗剤メーカーは「無リン合成洗剤」の販売を始めたために、一時は7割を超えると言われたせっけんの使用率が急速に低下してしまいました。
でも、その一方で廃食油の回収は増大していくアンバランスな状況となりました。当然ながら、せっけんが使われないと、せっかく廃食油を回収してせっけんへリサイクルしても、循環のサイクルは維持できません。
そこで、廃食油を資源として有効に活用するためには、せっけんへのリサイクルとは別の、新しいリサイクルの仕組みが必要となり、それを作り出すことが大きな課題へとなっていったのです。
そんな中で、出会ったのが遠くドイツで行っていた「ナタネ油プログラム」だったのです。