2014年3月に公表されたIPCC第2作業部会(影響・適応・ぜい弱性)の報告書において、気候変動に起因する主なリスクが私たちの生活に深刻な影響を与える可能性があるとして、次の8つのリスクを挙げています。
- 海面上昇・高潮(沿岸、島嶼)
- 洪水・豪雨(大都市)
- インフラ機能停止(電気供給、医療などのサービス)
- 熱中症(死亡、健康被害)
- 食糧不足(食糧安全保障)
- 水不足(飲料水、灌漑用水の不足)
- 海洋生態系損失(漁業への打撃)
- 陸上生態系損失(陸域および内水の生態系損失)
近年、ゲリラ豪雨や熱中症は、現実的に頻繁に起こっていて、生活に何らかの影響を与えていることも実感できると思います。また、他のリスクが現実的に起こること、私たちの生活に想像もつかないようなダメージを与えることになるでしょう。
また、2014年4月に公表されたICPP第3作業部会(気候変動の緩和)では、国際交渉において気温上昇の抑制の目標とされ注目されている「2℃シナリオ(気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に抑制する可能性の高いシナリオ)」について詳しく報告されました。
「2℃シナリオ」を実現するには、2050年には世界全体で2010年と比べて40~70%の温室効果ガスに排出量を減らし、2100年にはゼロまたはマイナスの排出量(植物などによるCO2の固定や、発生したCO2を地中に埋めることにより排出量をマイナスニする考え方です)にする必要があると報告されています。
気候変動によって異常気象の発生が増加する可能性が高いと言われており、気候変動は遠い将来の出来ごとではなく、既にその影響は始まっている可能性が高いと考えられます。私たちはこのリスクを自分自身のことと捉えて、どのように対応し、適応していくか一人ひとりが考えていかなければなりません。