バイオ燃料の歴史の話しをするにあたって、自動車の歴史も関係してきます。かのヘンリー・フォードが約1世紀前に開発した第1号のT型フォードは、アルコールを燃料として走る車でした。ルドルフ・ディーゼルが発明した最初のディーゼルエンジンもピーナッツ油を燃料にしていました。
しかしながら、まもなく2人の発明家は、石油に目を付けることになります。石油は、ちょっと精製するだけで、植物由来の燃料よりもはるかにエネルギー効率が高くて、製造コストも安い燃料ということが分かりました。
その後、石油の普及によって植物由来の燃料は需要もなく、すっかり忘れ去られていましたが、1973年に起こった第1次石油(オイル)ショックが起きると、米国をはじめとする石油輸入国はエタノールを見直して、ガソリンに混合して供給不足を補いました。
その後、アルコール燃料が本格的に市場に再登場したのは2000年になります。おもにガソリンに混ぜて排気ガスをクリーンにする添加剤として利用されました。
さらに中東情勢の混乱によって、エネルギーの安定供給が再び見直されることとなり、米政府がエタノールの利用促進を掲げて、バイオ燃料ブームに火が付いたと言われています。
ここ最近米国では、シェールガスの採掘技術の発達によって、採掘量が増加してきたことにより、エタノール燃料については以前に比べ、縮小傾向にあるといえます。
このようにバイオ燃料は、石油の価格や他のエネルギーの台頭や衰退に、非常に左右される歴史を送ってきていいます。2000年以降では、環境の面からバイオ燃料は見直されてきていますが、原料の価格や安定供給がカギとなっています。